2021-09-16

【洋書】Digging to America (あらすじ)



先日投稿したアメリカの作家、アン・タイラーの『Digging to America』が積読になっていたのに気づいた。2006年に初版が発行され、うちにあるペーパーバックは2007年出版。おそらく出版後にすぐ書店で見つけて買ったんだと思う。いやぁ…何年積んどいたの?って話ですね。

2週間も前に読み始めたのに、まだ読了せず。

ジャンル:フィクション、ファミリー
未訳本

あらすじ (和訳抜粋):
❝本来なら出会うはずもかなかった2家族がボルティモアの空港で偶然に出会う。韓国から養女となる乳児の到着を待っていたのだ。郊外に住むアメリカ人夫婦、ブラッドとビッツィ・ドナルドソンの一群は、シルバーやピンクの風船にプレゼントを山のように用意して、そこだけがまるで巨大なベイビーシャワーの様相。かたや、イラン生まれのマリヤム・ヤズダンは、すっかりアメリカナイズされた息子のサミとイラン系アメリカ人の美しい妻ジーバと共にロビーの後方でひっそり佇んでいた。ビッツィがヤズダン一家を養女の「到着パーティ」に招待したことをきっかけに、その集まりは両家族にとって毎年恒例の行事となっていく。長い年月を経て、親子とその祖父母同士が深く関わり合うなかで、異文化の衝突、価値観の相違が如実に表面化してくる。アメリカで生まれ育った人間とそこに溶け込もうとしている人間の微笑ましい視点からアメリカ的な生き方が垣間見れる❝


あらすじの和訳(抜粋)にも時間がかかりましたが、読了に挑戦します。


2021-09-06

昔ばなしと海外クライアント選び

日本人の翻訳者を探している会社があるからやってみない?と話が舞い込んだのは遙か昔。それが翻訳を生業にしようと思ったきっかけだった。当時2人目の子どもが生まれて会社を退職し、子育てに専念していた時期。在宅で仕事ができるのなら万々歳。少しでも家計の足しになるならと夫とも相談して自分用のPCを購入。あの当時、アメリカではWindows OSに日本語機能がなかったので、なんと「一太郎」を導入したんだった。遠い記憶だわ~

その初仕事が、最初で最後の直受けだったとは(藁)。レートは今の3倍弱 (当社比)。良い時代だった (遠い目)。

そのプロジェクト終了後はあまり記憶がはっきりしていないので、おそらく大量のExcel打ちで抜け殻になったんだと思う。

その後、ボランティアで翻訳をしたり編集のお手伝いをしたりしながら、ちょっとずつ経験を積んできたが本格的に翻訳の勉強をせずに始めていた。今考えるとなんと無謀なことをやっていたんだろう。

インターネットが大幅に普及し始めた頃、日本の翻訳コミュ (ニフティとか) や無料学習会などに顔を出したりして、何となく業界の様子や勉強方法が分かり始めた。海外の翻訳者なら必ず一度は足を踏み入れるというProZに登録して、翻訳会社から仕事を頂けるまでになったのだが。

そこで学んだのは、クライアント選びの大切さ。翻訳者もそうであるように、翻訳会社もピンからキリまで色々だ。こちらとあちらのコモンセンスがまるで違うということもある。お国柄よね、で済ませる問題ならいいのだが、ビジネスとなるとそうのんきなことは言ってられない。

良くも悪くも様々な経験をしてきたが、取引するうえで私が心しているのは、①自分の最低価格を決めてそれ以下だったらお断りする。ただし、先方から単価を聞かれたら最低価格から2セント上乗せして交渉してみる (上乗せしてOKのこともあった!) ②支払サイクルが60日以上の会社とはなるべく取引しない(海外では45日が多いような。納品して即時、または15日以内に支払ってくれるところもある)。③案件開始時に発注書 (PO) を送ってもらうのが前提。POがないと納品しても請求書を発行できず、実際にPO待ちで支払いが3か月以上も先になったことがある。

以上はトライアルを受ける前に、勇気をもって尋ねるようにしている。真っ当な会社なら、人材開発担当者が詳しく回答してくれる。うやむやにする会社は要注意。

ProZ経由で打診が来たら、一応Blue Boardというデータベースで翻訳者のレビューを見てみる。評価者が多く、そのすべてが星5つなら返信しても損はない。実際にそうやって良い関係を築いている会社もある。

今は良い関係でも来年はどうなるか分からないので、「これだ!」と思うクライアントがあったら、どんどん当たってリフレッシュしている。トライアルに落ちてもくよくよしない。もっと良い条件の会社が見つかると楽観的にとらえる。

とにかく勉強しながら実務経験を積み随時トライアルを受ける。好条件の取引をどんどん積み上げていく。いまだに失敗することもあるけど、これでなんとか業界で細々とやってこれた。

な~んて偉そうに述べているが、自戒を込めて書いているのでご承知おきください。






2021-08-25

正しいけど使えない


過去に登録してしまったかなんかで海外のオンライン講座から勧誘メールが日本語でたまに来るのですが、日本語が微妙に変なのです。

例えば、メール冒頭の…

新しいことを学ぶ準備はできていますか?

おそらくソースは"Are you ready to learn something new?"なんでしょう。そうだとしたら、原文どおり忠実に訳されています。間違ってはいませんが、何かギクシャクした文章に感じます。

これを自然な日本語に直すとしたら…

新しいことを学んでみませんか?

ちょっと膨らませて

新しい学び、始めませんか? 

となるかな。でもAre you ready?の部分を訳していませんね。 誤訳になるでしょうか。

このメールの目的を考慮してみます。これは勧誘メールですので、人を惹きつけることが目的です。クライアントから「直訳調で訳すように」という指示がない限り(あったら取引止めた方がいいけど)、このオンライン講座に登録してみたいなと思わせる文章にする必要があります。「準備はできてますか?」なんて声を掛けられたらどうでしょう。

「できてねぇよ」となりますね、私なら。押しつけがましいように感じるからです。

マーケット分野の翻訳の基本は、訳出したら、それを読者の目線で読んでみること。もし自分がこれを読んだら登録したくなるか、購入したくなるかと考えながら訳を改善していくべきです。性別や年齢層も考慮に入れなきゃならないこともあります。原文に忠実に、ただ多少意訳になったとしてもその目的が達せられるのであれば、良い訳文に一歩近づけるのではないでしょうか。


2021-08-21

アメリカで身近に感じる作家


アメリカに来て最初に住んだ都市がボルティモアだった。大学の寮を出た後、一時ハウスシェアしていたが、その家の同じ通りに作家のアン・タイラーさんが住んでいた(おそらく今も同じ場所にお住まいだと思う)。同じ通りと言っても、彼女の家は閑静な高級住宅地にあって、私の家はそこから徒歩で10分ほど緩い坂道を下った小さなDuplex(一棟2軒続きの住宅)が立ち並ぶエリアだった。

時々タイラーさんの自宅前を通ることがあった。お姿を拝見できるかなと鬱蒼と茂る木々の間に建つ素敵な家をチロチロと横目で見ながら通り過ぎたものだ。残念ながらお見掛けしたことは一度もない。

彼女の書く小説の舞台はほとんどがボルティモアで、町名や通りの名前は実際に存在する。洋書を読むのが苦手でも、住み慣れた土地が登場するので「あ、あそこか!」とか「あの辺だね」なんて情景を思い浮かべながら読むのが楽しかった。英語が難しくても分かった気分になってしまうのである。

図書館や書店でまず手に取ってしまうのはアン・タイラーの本。同じ場所に住んでいたというだけで身近に感じるからかも知れない。

ボルティモアを離れてからかなり経つ。アン・タイラーの本は数冊持っているが、以前より英語力は高くなっているはずなので読み直してみよう。



2021-08-20

気分が乗らないとき



今進行中の案件だが、なかなか気分が乗らない。

ソースクライアントの翻訳ツール必須の作業で、翻訳メモリに既存訳が大量に入っている。既存訳は質が良いので楽と言えば楽だが苦痛でもある。ショートカットキーで既訳を挿入する作業が多いのだ。

内容は詳しく書けないが、開発者用の説明書で定型文やタグが多く、翻訳するというより、用語集を見ながら挿入する作業と言った方がよい。タグも多い。頭より目を使う。肩こりもひどくなる。

IT系には機械的な作業が延々と続くのがあって辟易するが、これも仕事の一つと割り切って進めるしかない。

気分が乗らないと、普段よりも多くツイートしたり、YouTubeに見入ってしまったりするので効率が益々悪くなるのである。



2021-08-17

【洋書】The Last Thing He Told Me (レビュー)



感想:★★★☆☆

あらすじはここ

主人公ハンナの夫オーウェンの疾走後と疾走前のストーリーが章ごとに展開され、読み進めていくうちに夫婦の間で過去に交わされた会話が謎解きの鍵にもなるところが面白い。最初から中盤までは目が離せない感じで一気に読めたが、真相が掴めたら膨らんだ風船がしゅ~っと萎んでいくように残念な展開になる。最後がどうなるのか知りたかったので投げ出さずにどうにか読んだ。

各章が短く文章も簡潔。洋書が苦手な人には読みやすいと思うし、会話が比較的多めなので米会話の勉強にはなるだろう。が、正直言って、お金を出して買うほどの内容ではない。回し読みで十分。この本を貸してくれたおばさんに感謝デス。

リース・ウィザースプーンのブッククラブ推薦書でかなりの高評価だが、酷評も結構ある。AppleTV+でドラマ化が進められているようだ。

ミステリーとしては面白かったので私は星3つ。


-----ここからネタバレあり-----

一つ勉強になったのは、証人保護プログラム(WITSEC)という制度が合衆国にあるということ。例えば、マフィアやギャングなどの刑事裁判で証言する証人や内部告発者を暗殺などの報復から守る制度らしい。状況次第では生涯にわたって保護されることもあるそうだ。

理解できないのが、マフィアまがいの犯罪や汚職に手を染める組織に悪気もなく関与した父親に対する家族の心理だ。本人(父親)と組織が、有罪の決め手となった証人に報復しようとするのは分かるが、その家族も逆恨みするっていうのはありなんだろうか。オーウェンがベイリーを連れ去ったことを恨んでいることも腑に落ちない。父親なのだから娘を連れて行くのは当然ではないか。その辺りが曖昧でストーリーが確立されていないように感じた。

さらに、16歳の生意気盛りの娘がいて絶対に過去を知られたくない男が、40代で初婚の女性とすんなり結婚できるものだろうか?「こんなに結婚したいと思ったのは初めて」と言わしめた女性とはいえ、結婚して1年目の妻に「彼女を守れ」というメモだけを残して疾走し、自分を敵視している継娘をどうやって守れというのか。それを献身的に受け止めるハンナもハンナだ。自分勝手も程々にしてほしいと思うだろ、普通は。

ラストも至って平凡。ドラマ化を狙ってこの本を書いたのでは?と思わせるような「やっぱり」感で終了だった。ジュリア・ロバーツが主演になるらしいので(まだ未定)、映像化されたら興味本位で見てしまうかも。



2021-08-15

【洋書】The Last Thing He Told Me (あらすじ)




今月は、叔母の超おすすめ本『The Last Thing He Told Me』(著者:ローラ・デイヴ)を読むことにした。ふと気になって読者レビューを覗いてみたら、NYタイムズのベストセラー本でありながら、あまりよろしくないという批評が。読む前から凹む。だが英語は読みやすいし、全303ページという薄さ。それに、後日叔母から絶対感想を聞かれると思い(そっちの方が怖い)、読み進めることにした。

ジャンル:ミステリー

あらすじ(和訳抜粋):

ある日、夫オーウェンから妻のハンナに謎のメッセージが届く。「彼女を守れ」。戸惑いながらも、「彼女」が誰を指しているのかハンナはすぐに理解する。夫の連れ子である16歳の娘、継母のハンナに対して冷たい態度をとるベイリーだ。FBIがオーウェンの上司を逮捕したことをニュースで知り、ハンナはオーウェンに電話で連絡を取ろうとするが返事はない。次の日、連邦保安官と連邦捜査官が予告なしに彼女の家にやってくると、ハンナは夫が今まで話していた通りの人物ではないことに気づく。事実を解明する鍵を握っているのは娘のベイリーかも知れない。ハンナとベイリーは真相究明に乗り出すが、オーウェンの過去の断片をつなぎ合わせていくうちに、二人がまったく予期しなかった新しい未来を築いていることに気づく。
 
スピード感あふれるストーリー、めまぐるしい展開のプロット、家族の絆を描く『The Last Thing He Told Me』は、予想外の展開と衝撃的なラストであなたの心を奪うこと間違いなしのミステリーだ。


あらすじを読むと、ミステリー好きには堪らないストーリーではないか。読了にチャレンジしてみる。

2021-08-14

ブログ再再開

ブログをまた始めることにしました。と書いて途中で投げ出したのが2017年。また投げ出すかも知れないけれど、恥ずかしながら懲りずに再開することにした。

翻訳者と名乗るからには英語力と併せて文章力も必要なはずなんだが、ここ数年、自分の言葉をきちんと文章にしていないせいか文章力が落ちてしまったような気がする。Twitterで「呟き」なんてやっていると一言談話みたいなのしか書かないし、長文を書くことが億劫になっている。これは良くない、ヤバい。

とは言え、再再開にあたり何を書いていけばよいのやら。

このブログを目にして頂いた方の人生に役立つようなことは書けそうもないが、海外在住の翻訳者の日常やら、洋書の読書感想とか、そんなものをまた書き連ねていこうと思う。

人生も半ばを過ぎたが、何か続けられるものがあればいいよね。継続は力なり。よろしくお願いします。