2021-08-17

【洋書】The Last Thing He Told Me (レビュー)



感想:★★★☆☆

あらすじはここ

主人公ハンナの夫オーウェンの疾走後と疾走前のストーリーが章ごとに展開され、読み進めていくうちに夫婦の間で過去に交わされた会話が謎解きの鍵にもなるところが面白い。最初から中盤までは目が離せない感じで一気に読めたが、真相が掴めたら膨らんだ風船がしゅ~っと萎んでいくように残念な展開になる。最後がどうなるのか知りたかったので投げ出さずにどうにか読んだ。

各章が短く文章も簡潔。洋書が苦手な人には読みやすいと思うし、会話が比較的多めなので米会話の勉強にはなるだろう。が、正直言って、お金を出して買うほどの内容ではない。回し読みで十分。この本を貸してくれたおばさんに感謝デス。

リース・ウィザースプーンのブッククラブ推薦書でかなりの高評価だが、酷評も結構ある。AppleTV+でドラマ化が進められているようだ。

ミステリーとしては面白かったので私は星3つ。


-----ここからネタバレあり-----

一つ勉強になったのは、証人保護プログラム(WITSEC)という制度が合衆国にあるということ。例えば、マフィアやギャングなどの刑事裁判で証言する証人や内部告発者を暗殺などの報復から守る制度らしい。状況次第では生涯にわたって保護されることもあるそうだ。

理解できないのが、マフィアまがいの犯罪や汚職に手を染める組織に悪気もなく関与した父親に対する家族の心理だ。本人(父親)と組織が、有罪の決め手となった証人に報復しようとするのは分かるが、その家族も逆恨みするっていうのはありなんだろうか。オーウェンがベイリーを連れ去ったことを恨んでいることも腑に落ちない。父親なのだから娘を連れて行くのは当然ではないか。その辺りが曖昧でストーリーが確立されていないように感じた。

さらに、16歳の生意気盛りの娘がいて絶対に過去を知られたくない男が、40代で初婚の女性とすんなり結婚できるものだろうか?「こんなに結婚したいと思ったのは初めて」と言わしめた女性とはいえ、結婚して1年目の妻に「彼女を守れ」というメモだけを残して疾走し、自分を敵視している継娘をどうやって守れというのか。それを献身的に受け止めるハンナもハンナだ。自分勝手も程々にしてほしいと思うだろ、普通は。

ラストも至って平凡。ドラマ化を狙ってこの本を書いたのでは?と思わせるような「やっぱり」感で終了だった。ジュリア・ロバーツが主演になるらしいので(まだ未定)、映像化されたら興味本位で見てしまうかも。



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